05-<< 2017-06- >>07-

123456789101112131415161718192021222324252627282930

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--:--  |  スポンサー広告  |  EDIT  |  Top↑
2012.02.21 (Tue)

「低線量被曝と専門家の意見」について 仙台在住 さんのご質問に

「低線量被曝と専門家の意見」について
 仙台在住 さんのご質問への回答


要約
・ 確率的影響とは?
・ 低線量被曝の影響は確定できないほど小さいから問題ない?
・ わずかな遺伝子ダメージは自己修復するから問題ない?
・ 細胞が傷つくことによって下痢や免疫低下がおきる?
・ 低線量被曝は閾値がある?

本ブログ、講演「被曝をどう避けるか」要旨に関して、「仙台在住」さんからいただいた質問への私の回答です。
「仙台在住」さんのご質問・意見は本ブログ「被曝をどう避けるか」要旨の記事の後に掲載されています。
長くなったので別記事にしました。

■ご質問
「確率的影響とは?」
(回答)確率的影響という言葉について。
重金属や農薬などの毒物を摂取すると半数が死ぬ量を致死量といいます。
10倍に薄めて10人が致死量の10%を摂取すると、死にはしないが何らかの有害な作用があるが、1万倍に薄めて1万人が飲めば誰にもなんの作用もない。
別の言葉で言うと、1人が死ぬ毒を1万人で分けて飲めば誰にも有害ではない。
これが普通の毒物の作用の仕方で、用量依存的影響(正しくは用量依存的作用)といいます。

放射線の発癌に対する確率的作用とは、これとは異なって、幾ら薄めても毒作用が出たときの毒性は変わらず、毒性が現れる頻度が減ることを言います。
100mlの致死量の毒入りジュースがあったとする。それを10Lのジュースに薄めて100mlずつ100人が飲めば、普通の毒の場合は飲んだ大部分の人に弱い毒作用がでる。
1000Lに薄めて1万人が飲めば殆どの人は何の症状も出ない。
これが普通の、用量依存的毒作用。

1本の100mLのジュース缶に毒を入れて999本の缶ジュースの集まりに混ぜたとすると、毒入りジュース缶を飲んだひとりは死ぬが残り999人には作用がない。毒を入れていない9999本のジュース缶に混ぜて1万人が100mLジュースを1缶ずつ飲んでも、さらにどんなにジュース缶を増やしても、1人の人が毒で死ぬ確立は減るが、誰か1人が死ぬことはかわらない。これが放射能の発癌に対する確率的作用です。
放射能汚染食品の流通量を規制しないで、一定濃度以下にして広く流通させてはいけない理由の一つです。

ご質問
「100mSV以下では影響が良く分かっていないが、分からない程小さいから問題ない。
少しの遺伝子へのダメージは自己修復するから問題ない。
との意見を耳にしますが、この見解は正しいのでしょうか?
学者の方によって見解が異なる様な印象を受けますが先生の見解はいかがでしょうか? 」
(回答)銅やその他の多くの金属イオンは生体微量元素といって、不足すると欠乏症を起こしますが多いと有毒です。
医療分野では微量元素欠乏症はあるのですが、一般社会で問題になるのは、環境汚染による重金属中毒です。
このような、少量では有益だが、過剰では有毒になる重金属も、有害物として環境基準や食品基準が許可される上限値が決められています。
その制限値は、有害と確認できる量よりずっと少なく数%かそれ以下の量で規制されます。

有害量と無害な量の分かれ目は厳密に決定できないので、「有害と証明されていないレベルを避けるのは非科学的だ」というのは「有害な作用が出るまで食べて、有害と分かったらそれより少ない量まで食べろ」という、誤った論理で、まともな理屈ではない暴論です。
これは医学の知識の問題ではなく、人としてまともな考えを持つかどうかという問題なので、「専門家」が特権的に判断して解説する問題ではありません。
「専門家」の暴論に対して「それは誤りだ」と反論するために、医学知識は必要ありません。
反論に対して「専門家」から医学知識のことばで反論や解説があってもそれはすり替えです。

有害な作用があるものは、「これ以下なら害はない」という値を確定・証明して、それよりさらに十分低い値で制限するのが、毒物に対する基本的考え方です。
食品安全や環境基準に関する日本の法律も、国際機関の取り決めもそうなっています。
法律を考えなくても、常識でまともに考えれば当たり前のことです。

ご質問
以下は私の独学の勝手な解釈ですが↓
「被曝でDNAにダメージ→DNAが修復される過程でミスが起こる場合があり、変異→増殖し、癌化。
変異した細胞を自殺させる遺伝子(P53遺伝子など?)が変異した細胞を自殺させるが、この遺伝子自体、被曝で損傷してしまう恐れもある。 」「つまりどんな少ない被曝でもこのDNAの変異・増殖。または変異した細胞を自殺させる遺伝子(P53?)のダメージによる機能低下などが起こる可能性が高まり、癌などの影響の可能性が上がる。
⇔逆に言えば、低線量被曝の範囲でどれだけ多く被曝をしてもこのDNAの修復ミスと増殖などが無ければ癌化においては問題ないレベルである」
(回答)おおむねその理解で正しいです。「自殺させる遺伝子がコピー間違い(変異)して、自殺させられなくなると、増殖し続ける=がん化する」 がより正しく分かりやすい表現です。より正確にはそのような、増殖開始や、増殖停止、細胞自殺、遺伝子修復などに関係した遺伝子が、細胞増殖に働く方向の変異を起こし、1個の同じ細胞内でそのような遺伝子変異が数個蓄積されたときにがん細胞になる。増殖や遺伝子修復に関係ない遺伝子に変異が生じても発がんには関係しません。変異した遺伝子が設計図になっている蛋白が少し変わるだけです。

ご質問
「内部被曝ではα線やβ線も加算され、飛程はγ線より短いが、より多くのDNAを切断する危険性がある。
その為、必然的にDNA修復過程でのミスが起こる可能性も上がる。
特にDNAの2重螺旋の両方を切断する場合は1本の切断に比べてリスクが高く、他の切断されたDNAと修復過程で変異結合してしまう場合もある。
⇒つまり同じ放射性物質を外部と内部で比べた場合、内部の方がより影響があると考えられる。(セシウムも外部被曝では1m離れていればγ線の影響のみだが、内部ではβ線の影響もあるなど。)

細胞分裂をする際の、螺旋が1本になった際の被曝ダメージが特にリスクが高く、その為、細胞分裂の多い子供の影響が高いと考えられる。 (注釈:これは内部被曝も外部被曝も同じです。岡山)

「勿論、癌だけでなく細胞が傷つく事によっての下痢や免疫力低下など様々な影響がある。 」
(回答)細胞が傷つくことはありえますが、どの細胞に、どの程度どのような傷か、いつまで続くかが問題です。
低線量被曝で下痢することが確実なら、このようなことが起きているのだろうと想像するとはできますが、その程度の被曝で下痢を生じるだろうかという疑問(否定ではない疑問)もあり、実際に下痢が増えているかどうかが問題です。十分に証明されていないので、推測です。
低線量被曝の結果と示唆、主張されているもののいくつかは被爆の結果であり、いくつかは違うのではないかと推測しています。事実はまだ誰も断言できないものが殆どです。

危険性がないと断言できない間は、危険がありうるものとして、危険を避けるために対処すべきです。
示唆されている危険性を「確定されていないから」といって、無いこととして扱うのは誤りです。同様に、確定できないが強く疑われるという場合は「強く疑う」と言うべきで断言すると誤りになります。

免疫細胞も放射線感受性が高い細胞の一つですが、免疫は複雑で様々な機能があります。
免疫の基礎知識のない人が「免疫を上げる」「免疫を回復する」「免疫の働きを高める」といっている多くのものは、何を根拠に言っているか、免疫のどの作用を言っているのか、疑問です。
ついでに言うと、このような場合、免疫がやりうることは、異常な細胞を破壊することであって、免疫が、変異した遺伝子を時間をかけて修復することはありません。損傷したり、コピーミスを起こした遺伝子の修復は細胞の中の核内で殆ど瞬時に行われます。免疫は大まかには、細胞間や細胞外の出来事です。

免疫細胞の働きには、ある免疫作用を高める働きも抑制する働きもあります。
基本的理解をしていない人が専門的で、専門家が断言しないことを断言したり、聞きかじりの俗論があたかも真実であるかのように語られ、それを前提にして、主張する人がいるだけでなく、多くの人が確認もされていないことを正しいと思い込んで論を進めていることはまずい、危ういと私は考えています。
特に免疫の話題で顕著です。

ご質問
「私は上記の内容により、どんな少ない被曝でもDNAの変異・増殖の危険性や場合によっては低線量でも健康被害など影響があり、被曝の健康被害には閾値は無いと考えております。
特に内部被曝は危険であり、極力避けるべきであると考えております。

閾値があるという考えが最近は出てきているという話なども見ますが、上記の内容であれば閾値は無く、被曝は今の線量ならば自己修復能力もあるので問題ないという見解は誤りだと考えております。

私の理解では確率的影響とは、少しの被曝でもDNAの変異・増殖などによって確率的によって起こりえる影響であり、被曝の影響は人によって一概にどの程度の線量で起こると言えないと考えております。」
(回答)おおむねその理解で良いです。放射線に関係した日本の全ての法律と、国際合意はその考えを基に作られています。否定する人は法律も否定することです。
DNA変異に対する自己修復機転や、異常細胞を始末する免疫細胞の働きはあってもそれで間に合わなかった分ががんとして出現するのですから、放射線やその他の原因で、遺伝子変異やがん細胞が多くできれば、修復や始末から逃れてがんとして発症するものも増えることになります。免疫やDNA修復が簡単にできるなら、がん治療や予防の再重要課題として研究されるはずですが、そのような研究が最重要課題として専門家の認識にはなっていません。
原発事故までは、その法律どおり実行することを指導してきた専門家が突然、主張を変えてしまいました。今でもその人たちは、放射線実験施設の運用や除染については恐らく法律どおりに指導しているはずです。

閾値は無いということは恐らくそうと私も推測しますが確定されてはいません。法律では可能性が高いと考えて、一般人への被曝を少量から禁止しています。
閾値以下の被曝は被曝量とがん化する割合が比例するかどうかについてはさらに明らかではなく、いろいろな考え方(仮定、想定)がありえます。
ただ被曝量とがん化の割合が比例してもしなくても有害であることは変わりないので、被曝を減らすべきという結論は同じです。

低線量被曝がどの程度影響があるかはまだ分かっていませんが、セシウム放射能はカリウムと比べると考えやすいところがあります。
地球上のカリウムはどこのカリウムも同じ割合で放射能を持っています。カリウムは生体にとって不可欠で、細胞内と細胞外の水に溶けています。
細胞内外の水の量と、それぞれのカリウム濃度は腎臓によってプラスマイナス15%くらいの変動で一定に保たれていますから、体内のカリウム量とカリウムの放射能量も一定に存在しています。
60kgの人で約4000ベクレルです。セシウムとカリウムは性質や体内分布も、放射能の性質も似ています。

大人が毎日40ベクレルのセシウムを食べ続けると、血中濃度が高まって、やがて、1日で食べる量と尿から出る量とが同じになり、体内の総セシウム量は1日摂取量の約100倍、毎日40ベクレル食べ続けると4000ベクレルで安定します。
カリウムの放射能が倍に増えたと同じ見当になります。カリウムの放射能が発がん原因の50%を閉めることはありえませんが発がん原因の10%なのか0.1%なのかは分かりません。

いずれにしても、セシウムを毎日40ベクレル食べ続けるとカリウムの放射能の作用がおおよそ倍になったくらいと想定できます。
セシウムを毎日10ベクレル食べるとカリウムの放射能が25%増えた程度という見当です。
元々体内にあるカリウム放射能の作用があまり大きくなければこの量のセシウムの影響も少ないと考えられます。
カリウム放射能の作用がどの程度なのかは分かりませんが、セシウムによる内部被曝を考える目安として使うことができます。

少量の毒物摂取をどう考えるかについては初めのご質問の回答で書きました。
放射線以外の一般の毒物はうんと減らすと、害は全くありませんから「一定以下の量では全く害がない」という意味で一般の毒物は「閾値がある」ということになります。
「閾値」というのは厳密には、その値になると飛躍的に状態が変わる量をいいます。
例えばアルコールを含んだ空気の温度を徐々に上げていくとある温度で爆発する(突然状態が変わる)というような量(この場合は温度)のことです。
閾値という言葉を、ヘーゲルなど哲学者の言葉で表現すると、(温度の)量的変化が(爆発という)質の変化をもたらす量と表現することがあります。
従って、現在、低線量被曝で使われているような、一定量以上では徐々に効果が現れ始める量を閾値というのは厳密には正しくない使い方です。
関連記事
スポンサーサイト
03:49  |  放射線  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

コメント:を投稿する

URL
COMMENT
PASS  編集・削除に必要
SECRET  管理者だけにコメント:を表示  (非公開コメント:投稿可能)
 

▲PageTop

この記事のトラックバック URL

→http://hirookay.blog.fc2.com/tb.php/24-7e103756
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

この記事へのトラックバック:

▲PageTop

 | ホーム | 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。